9月11日(日)は第62回東京都吹奏楽コンクール職場・一般の部へ。
会場は府中の森芸術劇場。東京芸術劇場での東京吹奏楽団の演奏会も捨てがたかったのですが、
所属楽団の練習の都合でこちらなら開始時間に間に合うということで来ました。
予選を突破した12団体の演奏が披露されました。以下、印象に残った団体を個人的な感想です。
1.デアクライス・ブラスオルケスター
課題曲:ジェネシス
自由曲:ウインドオーケストラのためのナイトフォニー(高昌帥)
指揮者は瀬尾宗利さん。本来の指揮者の佐川さんは新潟で開催の西関東大会での指揮のため
だそうです。ジェネシスは流れは良いのですが出演順1番のためか、ややモヤがかかった印象。自由曲も落ち着いた流れで良かったですが全般的にインパクトに欠ける印象でした。結果は金賞
2.Tokyo StackArt Wind Ensemble
課題曲:ジェネシス
自由曲:吹奏楽のための協奏曲(高昌帥)
課題曲のオープニングでややミスがあり、聴く気が少々失せました。この曲のオープニングはとても大事です。自由曲の冒頭の直管系楽器のファンファーレも埋もれた感じで会場の後方まで音が飛んできませんでした。自由曲の途中からはようやく音量が出てきて、「らしい」演奏となりました。最初から欲しい。結果は銀賞
3.プリモ アンサンブル東京
課題曲:ジェネシス
自由曲:ミラージュ Ⅴ(真島俊夫)
課題曲のオープニングは比較的クリアでした。音色もそれなりに良く、前の2団体よりも明確で明らかに聴きやすい課題曲でした。自由曲もはホルンなど、とてもよく健闘しており、個人的には金賞でもいいと思いましたが、音楽の流れという視点になるとややせっかちで聴かせどころであっさり流したり、もう少し音楽を音楽として感じる演奏ができるとレベルアップにつながるかと思います。結果は銀賞。
4.NTT東日本東京吹奏楽団
課題曲:サーカスハットマーチ
自由曲:ラッキードラゴン ~第五福竜丸の記憶~(福島弘和)
課題曲は終始おどけた感じで出演団体の並びからしてもとても楽しく聴けました。自由曲も曲の持ち味や音楽性も十分に出し尽くされた好演かと思い、ひょっとすると代表に絡むかとも感じましたが、なぜか銀賞。聞いた印象とは異なる結果に少々驚きです。ジャッジペーパーに何と書かれてたのか気になるところです。
5.おそきウインドアンサンブル青樹
課題曲:マーチ「ブルー・スプリング」
自由曲:富士山 ~北斎の版画に触発されて~(真島俊夫)
比較的少人数ながら音色がクリア。とても聴きやすい演奏。ところどころキズはありましたがそれをもってしても素晴らしい演奏でした。一人一人がしっかり出すと大人数はいらない典型的な演奏でした。結果は金賞。
6.アルスラボ東京
課題曲:ジェネシス
自由曲:セルゲイ・モンタージュ(鈴木英史)
今回のダークホース的存在。彗星のごとく現れた楽団。若い人が総じて多い印象でしたが、フリューゲル吹いてた人はかならご年配の方に見受けられました。予選の点数がかなり良く、期待しましたが、このドリームホールのキャパシティーには及ばない、数年前の葛飾吹奏楽団のような印象。要は味が薄い、室内楽的演奏。ちょっと期待外れでした。個人的にはここが最下位かなと。結果は銀賞
7.豊島区吹奏楽団
課題曲:やまがたふぁんたじぃ~吹奏楽のための
自由曲:地底旅行(P.グレイアム)
まずはいつもながら華やかなユニフォームに目を奪われました。課題曲も職場・一般では選択の少ない「やまがたふぁんたじぃ~吹奏楽のための」。選択する団体が少ない理由は単純に曲の時間が長いというのが大きいかと思います。
冒頭のフルートはそこそこ上手ですが、もう少し完璧を期したい。フルートの審査員ならひとこと書きそうですね。自由曲もかなりな難曲ですが、無難にこなしていました。もう少し音圧とパワーが全体的に欲しい印象でした。曲は激しいのに演奏は大人しいという何とも反比例な演奏でした。少しもったいない感じがします。結果は銀賞。
8.東京隆生吹奏楽団
課題曲:マーチ「ブルー・スプリング」
自由曲:シンフォニエッタ第3番「響きの森」(福島弘和)
今年は福島作品。高さんへの委嘱は今年は間に合わなかったとのこと。次年度以降のレパートリー開拓に期待します。さて、演奏のほうは見事のひとこと。音色はクリアで、プレーヤーは自信もって吹いてるし、何かを達成し続けている自信なのでしょう。大舞台でのメンタルもとても強そう。指揮者も勉強熱心かつ吹奏楽大好きなのでしょう。それがよく伝わってきます。私も数々の演奏会に足を運びますが主だった演奏会には、ほぼいらっしゃっているのがその証明かと思います。文句ない金賞代表です。
9.
Soul Sonority
課題曲:ジェネシス
自由曲:ウエスト・サイド・ストーリーより シンフォニック・ダンス(L.バーンスタイン/P.ラヴェンダー)
まず指揮者のノリが良い。こんな指揮者の下で吹きたいと思いました。練習は厳しいのかもしれませんが。特にトランペットはわずか3本。昔はもっとたくさんいたような気がしましたが、何かあったのでしょうか。さて、演奏そのものは個人的には客として観るなら最高点!!とくにトランペット3本でのウェストサイドストーリーは見事。ハイE♭もしっかり出ている。それに吹き切る体力。何者でしょうか。
この曲を吹奏楽コンクールで演奏する場合曲の終わりをそうするか悩ましいところですが、きちんとゆったりとした箇所で終えたのは見事。ブラボーな演奏です。結果は当然の金賞
10.
創価グロリア吹奏楽団
課題曲:憂いの記憶~吹奏楽のための
自由曲:吹奏楽のための風景詩「陽が昇るとき」より
まず音圧が素晴らしい。課題曲も貴重なⅤ。落ち着いた演奏も安定感抜群。自由曲もこの曲を初めて聴いたのが当時中村さんの振ってた横浜ブラスオルケスターの演奏。やはりこの曲の順番はⅠ→Ⅱ→Ⅳでしょう。最近やたらとⅣ→Ⅰ→Ⅳのパターンが多いので個人的には好みではありません。しかしながら当時のようなエネルギッシュな指揮でグイグイ団体を引っ張る演奏ではなくやや落ち着きすぎていた演奏でした。もちろんサウンド力はピカ1ですが。でも東京隆生と比較するとやや劣るような気がしました。結果は金賞代表。
11.
板橋区吹奏楽団
課題曲:ジェネシス
自由曲:トリトン・デュアリティ(長生淳)
課題曲は理想的なオープニング。特に舞台下手側のトランペット3rd付近とティンパニが被る箇所については、ティンパニがもう1段下に降りることで解決。素敵なファンファーレが聴こえてきました。音もクリアで元気もあり、とても聴き心地が良い課題曲でした。自由曲も好演。指揮者の大橋さんの
曲作りも素晴らしく、終始惹きこまれる好演。代表にも絡むかと思いました。結果は金賞
12.
ミュゼ・ダール吹奏楽団
課題曲:憂いの記憶~吹奏楽のための
自由曲:交響曲第3番「四季連祷」より(長生淳)
こちらも貴重な課題曲Ⅴ。音色がクリア。しかしグロリアに比べるとやや傷が多く、薄く鳴る箇所のピッチも安定しない感じで、うまい演奏ですが、付け入るスキはややある演奏です。自由曲は一転、高い技術力を持って推進力のある演奏。壮大に締めくくられました。作曲者の長生淳さんもご来訪されておりご納得な様子。
ということで、各団体の熱演を聴けた素晴らしい1日でした。
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