5/11(水)は「パシフィックフィルハーモニア東京」の第148回定期演奏会「飯森範親音楽監督就任記念公演」へ。「東京ニューシティー管弦楽団」から改名してから初めて出かけました。会場はいつもは東京芸術劇場でしたが、今回はサントリーホール。この会場はロビーが狭いせいか、どんな演奏会でも熱気があるように見えるのは不思議です。芸術劇場での公演の時よりも明らかにお客さんの人数は増えていたように思います。おそらく飯森さんのご尽力による影響もあるのでしょう。
プログラムの前半はチャイコフスキーの「ピアノ教協奏曲第1番」。オーケストラの演奏会は吹奏楽ほどは出かけないので、有名なこの曲の演奏に出会うのは初めてでした。そしてピアノ奏者は牛牛(ニュウニュウ)さん。プログラムノートから推測するに、20代中盤の方のようでした。恥ずかしながら牛牛さんの演奏は初めて聴きました。まず、オーケストラの冒頭のホルンは期待通り。そして牛牛さんのピアノの演奏はどれほどのものかと楽しみにしておりましたが、第1楽章では「力強く」、第2楽章では「甘美」で、第3楽章では「さらに勇ましく」といった感じで、演奏するオーケストラをリードするかのようなパワフルなピアノは見事。終了後には拍手喝采。そしてその後のアンコールでは、ピアノ独奏によるベートーベンの「運命」を披露。普通このようなアンコールだと緩い曲を演奏しがちですが、パワフルモードを継続し、こちらも圧巻でした。
休憩後はショスタコーヴィチの「交響曲第1番」。少し前にNHK交響楽団(指揮:井上道義)でも聴きました。軽妙な展開や、どことなく当時の時代の重々しさを感じる雰囲気が秀逸。特に演奏箇所がそれほど多くないトランペットが、冒頭や、その他曲の雰囲気にいい意味で大きな影響を与えるほどに絶妙でした。最後のメイソン・ベイツの「マザーシップ」という曲は日本初演だそうで、なんというか、ディズニーランドや映像イベントの効果音として流れていそうな曲。さらに、マーティ・フリードマンさんによる「エレキギター」と藤原道山さんによる「尺八」と高木凛々子さんによる「エレキヴァイオリン」が登場、それらがパイプオルガン前のP席に配置され、しかも各楽器にアドリブのソロがあり、映像で映写された光映像の効果と相まって異様で風変わりな空間が演出されていました。管弦楽の演奏会に来ていたことを忘れてしまうようなひとときで、緊張感のあった前の2曲に比べるといい意味でリラックスして聴けました。
新しく生まれ変わった「パシフィックフィルハーモニア東京」の音楽の大航海に相応しい演奏会、今後も興味深いプログラムが多いので楽しみです。
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