4月25日(月)は東京佼成ウインドオーケストラの第158回定期演奏会へ。運営体制が変わっての演奏会。会場は、なかのZEROホール。昔、新交響吹奏楽団の演奏会を見に来て以来久々です。中野駅から線路沿いに結構歩きます。演奏会としては適度なキャパで、東京芸術劇場と違ってとても演奏者が近い印象を受けました。東京芸術劇場ほど響かないので、打楽器の金属音等がキーンと耳を突いてくるのもこれまた会場独自なものなのでしょう。特に中低音のサウンドがいつもにも増して厚く聴こえ、とても骨太でした。開演前からかなり熱気がありました。東京芸術劇場に比べてロビーが狭いので、吹奏楽界で著名な方々をたくさん見かけました。そしていよいよ開演。
オープニングのP.スパークの「希望の彼方へ」は、「陽がまた昇る」をオリジナル新曲として作曲されたそうで、新しい1歩を感じる華やかな演奏。
続いての冷水乃栄流(ひやみずのえる)さんの「Sparkling for Wind Orchestra」は、静寂の緊張感、各楽器の特殊奏法などを多用した前衛的な曲。現代音楽の演奏会ではよく聴くタイプの曲です。どこから何の音が来るか読めない、いい意味で終始目が離せない緊張感のある演奏で、今回のプログラムの中では異彩を放っていました。冷水乃栄流さんは、お名前も印象的ですが、以前観に行ったサントリーホールで開催されている第30回芥川也寸志作曲賞での「Not found for Orchestra」という人間不在のベートーベンの第九、をイメージした曲がとても印象に残っており、今回のこの楽曲もとても楽しみにしておりました。続いてA.リードの第4交響曲。特に第1楽章のエレジーの幻想的な旋律、緊張感、細部まで素晴らしい。また、第2楽章では指揮の大井さんの体全体を使った表現力にプレーヤーが呼応する絡みがとても面白く、演奏に躍動感がありました。タランテラでは一変して激しく展開。音楽のコントラストが絶妙な演奏でした。
休憩後の後半、J.マッキーの「吹奏楽のための交響詩『ワインダーク・シー』。吹奏楽コンクール等ではすっかりおなじみです。冒頭のホルンはさすがプロ。太い伸びやかな音色が会場全体を包みました。東京芸術劇場での演奏会時には感じることのなかった音圧。やはりプロはすごいと素直に感じました。第1楽章と第2楽章の間は、主に木管楽器の調整の関係でかなり間隔を空けていました。そして続く第2楽章。この曲を聴いていつも思うのはこの2楽章を聴くのはやはりライブが良いと感じます。スピーカーやヘッドフォーンで聞くとどうしても微妙な緊張感や耳を澄ますPPの音色などがうまくつかめないためです。緊張感を持った第2楽章から躍動の第3楽章へ。大きなスケールで会場を包み込み、壮大なエンディングで締めくくられました。静寂の緊張感と強奏時の音圧の対比が印象的で、音楽の持つエネルギーが存分に表現された好演。週の始まりを心地よく過ごせた一日でした。
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