3/22は東京佼成ウインドオーケストラの特別演奏会へ。会場は東京芸術劇場。平日夜の開催ではありましたが、寒さを吹き飛ばす会場の熱気。いつもの定期演奏会に比べて観客の数がとても多く、日時とプログラムの内容でこんなに集客が異なるものかと改めて感じました。さらに普段の定期演奏会はプログラムが淡々と進行しますが、今回は現在の正指揮者の大井剛史による解説付きでゲストプレーヤー&指揮者が東京佼成ウインドオーケストラとの関りをわかり易く説明。
オープニングは山下一史さん指揮によるA.リードの「法華経からの3つの啓示」より第3楽章の平和の悦び。高らかなファンファーレとともに大きなフレーズ感で高まる高揚感で魅了。続くC.ウィリアムスの「ファンファーレとアレグロ」では原田慶太楼さんが指揮。今回、汐澤安彦さんの出演回避により、急遽指揮することになったそうで、演奏前にはフェネルさんとの想い出やアメリカの楽団を率いる苦労話などを披露。独立するということは、皆の協力なくしては成り立たず、ひたむきに頑張ることで乗り切れるということを熱弁。そして演奏も秀逸。いつものように平面的な音を立体的に変換する動きの大きい指揮も素晴らしく法悦に浸ります。
続いて、「BIRDSアルト・サキソフォーンとバンドの為の協奏曲」より第2楽章「シーガル」では須川展也さんが登場。時がたつのは早く、還暦を迎えられるそうな。甘美な音色で聴衆を魅了。続く三善晃さんの「吹奏楽のための『深層の祭り』」では指揮が飯森範親さん。何と豪華な指揮者なのでしょうか。難度が高い曲であるはずなのに楽譜の粒が浮かび上がってきそうな精度の高い演奏。特にラストの1拍前のタンバリンが秀逸。
一部のラストは汐澤さんの出演回避でこちらも急遽指揮をされた保科洋さんによる「風紋(原典版)」出だしの大きな指揮と小さな指揮で表現豊かに曲の進行。課題曲版ではカットされている中盤の箇所のサウンドがいかにも保科さんらしくてとても感動。さまざまな想いを乗せて第一部は終了しました。
第2部は藤野浩一さんによる指揮でポップス曲が3曲。特にソプラノサックスとハープによる「シチリアーノ」が印象的。続いて飯森さんの指揮に戻り、真島俊夫さんの「3つのジャポニズム」より第1楽章。この第1楽章のみでも十分曲として完成されており、打楽器のバランス感が素晴らしい。ラストは正指揮者の大井剛史さんによる「吹奏楽のための交響曲」より第3楽章で高らかに締めくくられました。そして、アンコールでは本来、本プロで汐澤安彦さんが指揮をする予定だった「アルヴァマー序曲」を演奏。特筆すべきは汐澤安彦さんの「アルヴァマー序曲」の快速テンポでの演奏。初めて「アルヴァマー序曲」を聴いたのが1982年の吹奏楽コンクール自由曲集のレコードでの演奏でしたので、やはりこの快速感が一番馴染みがあります。というわけで、過去と決別し、独立へ向けての覚悟を感じた演奏会。東京佼成ウインドオーケストラ、これからも応援したく存じます。
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